大学2年の時、私はある理由で新宿二丁目を彷徨いました。。。
福島の郡山駅から新幹線に乗った私は上野駅で乗り換え、地下鉄丸の内線に乗り継いで新宿三丁目駅で降りました。
思いつめた顔をして駅を出た私の目の前には怪しくたたずむビルの群れがギラギラと光って立ち尽くしていました。
まずは駅周辺を歩いて町の様子を伺いました。
雑居ビルとマンションが怪しく入り混じったこの町に私の求める世界があるのか不安と期待で心臓が早く動くのを感じました。。。。
歩きながらそれらしい店の入り口と看板を眺め、立ち止まっては中を覗き込む。そんな繰り返しでした。
探すものはなかなか見つからず、時折店に入って道を聞きましたが思うような情報は得られませんでした。
喫茶店で休みながらとはいえ、いつの間にか3時間も経っていました。
ふと気づくと目の前には木の生い茂った公園があり、辺りを見回すと、ところどころに人がいるようで、それぞれが肩を寄せ合っていました。
トイレで用を済ましてからベンチンに座ってタバコに火をつけ、缶コーヒーを飲んでいると隣に人が座ってきました。
「ここ、いい?」
顔を見ると、ずいぶん綺麗な顔をした男の人でした。
女性のように綺麗な顔をした背の高い細身のその男の目の下には小さなほくろがあって、正面から見ると涙を流しているようにも見えました。
「誰か待ってるの?」、「ここは初めて?」と聞いてきました。
私は見ず知らずの男に警戒することもなくここに来た理由を話しました。
男は「そんな話は聞いたことがないなあ。」、「別の町じゃないの?」と言いました。
私がポケットから地図を出そうとすると、その男は私の肩に手をかけて私の目を見つめながら、
「一緒に探そうか?その前にどこかで休まないか?」とささやきました。
私は微笑みながら、
「いや、もう少し自分で探してみるよ。」と答えました。
男は表情を変えずに「困ったら電話をくれ。」とレシートの裏に携帯の番号を書いて差し出しました。
受け取った私は小さく一度だけ手を振ってその場を去りました。
しばらく歩いた私は雑誌から切り取った地図を取り出して眺めました。
そこにはこう書いてありました。
「そこは恐らく世界で一番集まる場所。そこで見つからないものはそれ以外の場所で見つかることはないだろう。
世界中のレコード、CDが集まる音楽の聖地、それは西新宿。
そこでは欲しい音楽を全て見つけることが出来るだろう。
※ただし、個人経営の店が多いのでとにかく歩いて店を覗いて廻ろう。」と
田舎ものの私は西新宿と新宿二丁目の区別がつかずに思い込みだけで新宿二丁目をさまよっていたようです。
現在3000枚を越えるようになったCD収集の裏にはこんなマヌケなエピソードがありました。ウソのようなホントの話です。